保護猫と保護猫を支える人を応援したい!『保護猫(にゃん)活動応援隊!にゃんとハッピー部』のこえりんです。
保護猫を迎える前に、お互いの相性をじっくり確かめたい。保護猫の力になりたいけど、飼うのは難しい。そんな方たちにおススメなのが保護猫カフェです。
保護猫カフェでは一定時間保護猫と過ごせるので、自分と気が合う保護猫と出会える可能性が高くなります。
また動物を飼育できない状況の方でも、保護猫カフェを利用するだけで保護猫やお店の方を応援することができます。
そんな保護猫カフェの魅力をさらに探るべく、実際に行ってお話を聞いてきました。
今回取材させていただいたのは、兵庫県伊丹市の『猫カフェ スマイルアゲイン』さんです。(取材日時:2022年3月15日)
ではさっそく行ってみましょう!
目次
『猫カフェ スマイルアゲイン』の場所と利用方法
『猫カフェ スマイルアゲイン』はJR伊丹駅から伊丹市バスに乗り約20分、西野バス停で降りて徒歩1分の所にあります。
降りたバス停を背にして、右側に向かって行くとすぐにお店が見えました。
猫耳帽子のようなテントと、猫の足跡模様がついた茶色のドア、猫のしっぽをイメージしたドアノブが目印です。
可愛い猫の看板の上には、お店の営業日カレンダー、料金、注意事項などが書かれています。お店に入る前にチェックしておくと、スムーズに入れると思いますよ。また、予約優先制なので、空き状況などは電話で確認してみると良いかと思います!
では、さっそく中に入ってみましょう。猫をモチーフにした郵便受けや玄関マット等、店主のこだわりが感じられます。
お店は2階にあり、階段脇の壁には、写真が飾られてありました。
店内は白を基調とした部屋になっていて、清潔感があります。入口付近に手洗い台があるので、まずはここで手を洗います。
お店は猫ブースと喫茶ブースに分かれているのですが、真ん中に手洗い台が設置されているので、使いやすし衛生的だなと思いました。
料金は前払い制です。喫茶ブースには、4人掛けのテーブル席と、3名分のカウンター席があります。注文した飲み物(ソフトドリンクICE)だけは、猫ブースに持ち込みも可能だそうです。
では、いよいよ猫ブースへ!
扉を開けて中に入ると、さっそく保護猫が近づいてきてくれました。
猫ブースの中には、靴置き、ロッカーがあり、身軽な状態で保護猫と触れ合えます。
保護猫はみんな穏やかで、それぞれお気に入りの場所でくつろいでいます。
まずは保護猫たちにご挨拶をし、その後店主のカイさんにインタビューさせていただきました。
『猫カフェ スマイルアゲイン』店主カイさんにインタビュー
『猫カフェ スマイルアゲイン』は、2018年2月22日にオープン。店名には、「多くの人に里親になっていただき、保護猫たちが幸せになって笑顔に戻れるように」という願いが込められているそうです。
2月22日といえば、「にゃん、にゃん、にゃん」で猫の日ですね!カイさんのこだわりが感じ取れます。
子供の頃から猫と暮らし、もともと猫好きだったカイさん。現在はご自宅に4匹の猫がいるそうですが、一時期は7匹の猫と暮らしていたそうです。
保護猫カフェを開いたきっかけは?
“その頃、世間的にも殺処分が多いと言われだしたので、心苦しいな、一匹でも救えたらなという気持ちがありました。そんな気持ちはずっとあったんですが、本当に気持ちを押されたのは、公園で2匹の猫に出会ったからかもしれないですね。
その猫たちは、生後6カ月ぐらいだったんですよ。いきなりひざに乗ってきてくれて、すごい人慣れしてる。野良猫では見かけなかった子達だったんで、え?捨てられたの?って感じだったんですよ。
2匹ともシャムネコみたいで、兄弟っぽくて・・・、どちらも尾が曲がっていたので、売り物にならないと判断されたのかなと思いました。明らかに野良猫じゃないのは分かったので、里親探せたらなと考え保護しました。結局、里親募集はせず家にいるんですけど(笑)”
保護猫カフェを開くまでには勇気も必要だったそうですが、急に実行したくなり、物件探しを始めたと笑顔で話すカイさん。
いままでずっと頭にあった、猫を救いたいという気持ちを、2匹の保護猫が背中を押してくれたということなんですね。
それにしても素晴らしい行動力ですね!
『猫カフェ スマイルアゲイン』の保護猫は、なぜ雑種よりも純血種の猫が多いのか
“私は保護活動はしてないんです。
大阪に、『ねこの木』さんという、保護猫カフェがあって、そのオーナーさんが保護活動もされているんです。主に繁殖場やブリーダーさんからの保護で、その猫たちがうちにまわって来ています。”
だから、純血種のような猫が多いのですね。
一部の繁殖業者やブリーダーの中には、年齢が上がって出産が出来なくなったメス猫や、奇形や障害がある猫を殺処分にする悪質な業者もいるそうです。
そういった場所から救いだすことも、保護というのですね。私は恥ずかしながら、保護猫=野良猫という考えだったので、驚きました。
『ねこの木』のオーナーさんは、繁殖場や多頭飼育崩壊現場にいる猫、時には野良猫も保護していて、毎週のように保護活動をしているそうです。県外へ行って、他の団体の方と協力して20~30匹一度に保護することもあるそう。
このように、毎週のように猫を保護している『ねこの木』には、常時30匹以上の保護猫がいて、大きな店舗で譲渡型保護猫カフェを運営しています。
それでも猫でいっぱいになってしまうので、協力店として『猫カフェ スマイルアゲイン』でも保護猫を受け入れているそうです。
カイさんは言います。
“良いブリーダーさん達もたくさんいると思います。ただこの子達がいた所は、劣悪な環境で、あんまり世話してないような印象を受けることが多いです。
げん太君は、今すごい穏やかな顔してるんですけど…来たときはもっと痩せてて、さわると、骨がごつごつってあたる。ものすごい警戒心が強くって、撫でようとすると手がバーンと飛んできました。手が怖いみたいな感じで…あまり可愛がられてなかったんだと思います。
あとは、チンチラっていう毛の長い種類の子は、ものすごく毛玉だらけだし、臭いもきつい状態でした。”
まめに世話もしてもらえず、不衛生な環境で飼われていた事を想像すると、本当に悲しいです。
目の前にいる保護猫が、今では伸び伸びと幸せそうに過ごしていることだけが救いです。
保護猫と出退勤
『猫カフェ スマイルアゲイン』には、スタッフ猫を含めて今現在10匹の保護猫がいるそうです。
カイさんのご自宅には2匹のデビュー待ちの保護猫もいるそうですが、2匹共ご自宅でお世話されていることに、驚きました。
そしてさらに衝撃の事実が!
なんとカイさんは、毎回保護猫全匹と自宅から出退勤しているというのです!
なんでも、ここの店舗を借りる際に、猫を連れて帰るという条件付きで貸してもらえることになったとのこと。
約束とはいえ、その条件はなかなか大変ですね。ご自宅ではどういう風に管理されているのでしょうか?
“この子達は家に帰ると、ケージに入るんです。一部屋にケージが12台コの字型に並んでいて、一匹ずつお部屋があって。家帰ったら、そこでご飯食べて寝るだけって感じです。”
保護猫の移動は、1匹1匹キャリーに入れて行います。
その際、ご主人とボランティアの方にも手伝ってもらっていて、6、7人のボランティアの方が、それぞれ空いている日や時間に来てくれているそうです。
カイさんは足が少し悪く、キャリーをかかえての階段の上り下りは大変です。ボランティアの方は移動だけでなく、接客を手伝ってくれる方もいて、とても助かっているしありがたいとカイさんは言います。
猫の移動は重労働で大変ですが、悪いことばかりではありません。毎回連れて帰ることには、カイさんにとって2つの利点があるそうです。
1つ目は、保護猫がキャリーを怖がらないことです。
多くの猫には、キャリー=病院のイメージがあり、キャリーに入れられることを嫌がります。ただ、ここの保護猫はそういうイメージがない上に、自宅に帰ったあとは「ご飯」、ここに来る時は「自由に走れる」という良いイメージがインプットされているみたいです。
キャリーのふたを開けたら自分で入る子もいるくらいなんです、と笑うカイさん。
2つめの利点は、部屋が臭わないとお客さんにほめられることだと言います。
確かに、全く臭いがしません。
カイさんによると、空気清浄機があったとしても、やはり猫の排泄物の臭いは放っておくと充満するので、すぐに処理するべきだそうです。
その点、カイさんは毎回家に保護猫を連れて帰っているので、そういった臭いの心配がないのかもしれません。
トライアル・譲渡について
『猫カフェ スマイルアゲイン』には、いままで在籍していた全匹の保護猫の写真が飾ってあります。里親さんが決まった猫は、7月現在で33匹。
その中には、猫の鉛筆画家として有名な西方由美さんが里親になったチャビ君もいるんですって!
譲渡までのルールとしては、3回はここに遊びに来ることだそうです。3回以上来てから、やっとお気に入りの保護猫にエントリーができるのですね。
その後は、トライアルも可能です。トライアルというのは、気に入った保護猫を一定期間お家に迎え入れ、一生一緒に暮らせるか、環境、相性なども含めてテストすることです。基本2週間で延長はないそうですが、ほとんどの保護猫がトライアルから正式譲渡に至るそうです。
正式譲渡の際には、その猫の今までかかった医療費の負担、完全室内飼い、近況報告をしてもらうこともお願いしているとのこと。その他のお願いや詳細については、カイさんに聞いてみてくださいね。
今まで1匹だけ、先住猫とあまりうまくいかず戻ってきた保護猫もいるそうですが、その保護猫も別の里親さんの先住猫とは相性が良く、今では、仲良く幸せに暮らしているそうです。
また、里親さんの家に行くと性格が変わる保護猫もいます。
“最後の最後まで懐かなかった子もいますけど、里親さんの家に行ったら性格が変わって、先住猫ちゃんとも仲良くやっています。たくさん猫がいるのと、お客さんが出入りするのが嫌だっていう子はいっぱいいます。だから家に行っちゃうと、コロっと性格が変わるみたい(笑)”
里親さんの家に行って自分だけのお家ができると、安心して甘えん坊になったりするのかもしれないですね。
保護猫カフェ利用と里親希望とどちらのお客さんが多いの?
カイさんによると、最近は住宅環境で飼えない方、高齢になって飼えない方、愛猫を亡くした方など、カフェ利用の方のほうが多いそうです。
この周辺はマンションが多く、住宅環境で猫を飼えない方が多いのだそうです。
猫好きの人たちにとって、このカフェは癒しなんでしょうね。
猫ブースには今現在4人のお客さんが同時に入れます。
コロナ渦前は6人だったそうです。
『猫カフェ スマイルアゲイン』がオープンして2年目には、お店も認知されて、お客さんもだいぶ増えてきていたそうです。しかし、3年目に入る頃にコロナが始まり、一気にお客さんも減ってしまったそう。
1回目の緊急事態宣言の時は、お客さんは来ないのに飲食店のように国の補償がない。それでも家賃の支払いは発生するため、お店を開けていると1人くらいはお客さんが来るというような状況だったそうです。最近になってようやくお客さんも戻ってきて、リピーターさんだけじゃなく、新規の方も増えてきているとカイさんは言います。
それを聞いて安心しました。
保護猫カフェに興味を持っている人に一番伝えたい事は?
“一部の悪質な繁殖業者等が、猫を殺処分にする事があるということを、知らない方が多いです。繁殖用の猫の中には、年老いても命を全うさせてもらえず、殺処分になる猫もいる。そういう猫達がいるということを知ってほしいです。
生体販売、命の販売はしないでほしいと言う理由は、ペットショップに並ぶ猫達は、そういった一部の悪質な繁殖業者からきている可能性があるからです。ペットショップに並んでいるかわいい子達の、奥の話を知ってほしいと思います。だからペットショップで買うのではなく、こういう保護猫に目を向けてほしいとな思います。”
カイさんによると、多くのペットショップは繁殖業者やブリーダーとの直接契約ではなく、オークションで競り落とした猫を店頭に並べているといいます。そのため、猫が育った飼育状況や育てた人を把握することは難しいそうです。
実際に、ここのスタッフ猫のチャイちゃんも、ペットショップに並ぶはずだった猫でした。
チャイちゃんは、生後3か月の時に殺処分から救われた猫だったのです。カイさんは来たばかりの頃のチャイちゃんの写真を見せてくれました。
“こんなに小さくてかわいかったんです。でも、写真みたら分かるんですけど、片目が小さいんですよ。それで見栄えが悪いっていうことで、オークション落ちになったって聞いたんです。そうすると、殺処分にまわるっていう…。
うちに来たときは生後3か月で、900グラムちょっとしか体重がなかったので、小さいなとは思っていたんです。それから1カ月もしないうちに、門脈シャントという病気が分かって、手術を2回しました。
細かい所は分からないですけど、たぶんこの子にも兄弟がいて、比べると異常にこの子だけ身体が小さいから、病気かもしれないと判断されて、殺処分の組にまわされたのかもしれないです。”
チャイちゃんは、大きな手術を2回して、とても高額な医療費がかかってしまったので、譲渡の際に今までかかった医療費を里親さんに負担してもらうことが難しいと判断し、スタッフ猫になったそうです。
他にも、腎臓が悪く薬を飲んで、背中からの輸液もしているスタッフ猫もいます。医療費がかなりかかっていて、それでもこの子がいいって言っていただける人がいればお譲りしますけどとカイさんは言います。
カイさんは、とても穏やかで柔らかい雰囲気の女性ですが、保護猫一匹一匹を自分の子供のように考え、保護猫を守ろうとするたくましさがあり、保護猫全匹のお母さんのように見えました。
そんなカイさんだからこそ、一部の繁殖業者やブリーダーが見放した殺処分寸前の猫達を引き取り、病気の猫を懸命に治療して救ってこれたのだと思います。
これは、かなりの覚悟と実行力がないとできない、とてもすごいことです。
私はペットショップから犬猫を迎えたことはないですが、ペットショップに並んでいる犬猫のママやパパが殺処分されているかもしれないと思うと胸が痛みました。
一人でも多くの人が命の販売自体に疑問をもって、保護猫や保護犬に目を向けてもらえれば救える命はまだまだあります。
悲しい現実と向き合いながらも、保護猫カフェを運営していてうれしい事は?
“そうですね。里親決まった時と、なついてくれた時。あとは、やっぱり甘えてくれたりしたらすごい嬉しいですよね。”
そう語るカイさんの保護猫への愛情を感じて、とても温かい気持ちになりました。
悲しい過去をもった保護猫を、もう一度笑顔にしたいという気持ちで始めた『猫カフェ スマイルアゲイン』はカイさんのお母さんのような優しさと温かさで、多くのお客さんも笑顔にしてきたのでしょう。これからもわが子のような保護猫と一緒に、多くの人にこの温かい空間を提供してもらいたいなと思いました。
『猫カフェ スマイルアゲイン』の店内&保護猫の紹介
大工さんに作ってもららったという、おしゃれな内装。真ん中にあるキャットタワーと天井は圧巻!
今までいた保護猫全匹の写真。里親に出した保護猫の新しい名前まで覚えているカイさん。保護猫に対する愛情があふれています。
月間ランキング。お客さんの投票で1カ月ごとのランキングを決めてるんですって。 人気ナンバーワンのソラちゃんは膝に乗るのが大好きで、お客さんをメロメロにさせてしまうそう。9位のトトくんは、ソラちゃんの息子で、『猫カフェ スマイルアゲイン』で生まれたそうです。
チャイちゃん。足をあげてのポーズ。
メルちゃん。ここがお気に入り。ふわふわな毛並みでした。
げん太くんはここがお気に入り。
ベローナーちゃん。甘えんぼでそばに来てくれました。
猫の鉛筆画家として有名な西方由美さんは、ここでチャビくんに出会って里親になったそう。
カイさんも西方さんに何枚か絵を描いてもらったそうですよ!これはチャイちゃん。写真のようですが鉛筆画です。
『猫カフェ スマイルアゲイン』HP
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